エンドポイントセキュリティは、企業のネットワークに接続されるすべてのデバイス(エンドポイント)を保護するための多層防御戦略です。EPP(Endpoint Protection Platform)とEDR(Endpoint Detection and Response)を組み合わせることで、包括的なセキュリティ対策を実現できます。
エンドポイントセキュリティの主要要素
- EPP (Endpoint Protection Platform):
- 基本的なセキュリティ機能(アンチウイルス、アンチスパイウェア、ファイアウォール、侵入防止システム)を提供します。
- 既知の脅威からエンドポイントを保護します。
- EDR (Endpoint Detection and Response):
- リアルタイムの監視と高度な脅威検出を行います。
- ふるまい分析、脅威ハンティング、インシデントレスポンスを提供します。
- 未知の脅威や持続的な攻撃(APT)に対する防御を強化します。
EPPとEDRを組み合わせた製品
以下に、EPPとEDRを統合した代表的な製品とその特徴を紹介します。
製品名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
CrowdStrike Falcon | クラウドベースのエンドポイントセキュリティプラットフォーム。リアルタイムの脅威インテリジェンスとAI駆動のふるまい分析を提供。 | リアルタイム脅威検出とレスポンス、クラウドネイティブ、脅威ハンティング機能。 |
Microsoft Defender for Endpoint | EPPとEDR機能を統合し、クラウドベースで管理される包括的なエンドポイント保護を提供。 | AIと機械学習による脅威検出、自動化された脅威レスポンス、統合管理ダッシュボード。 |
Symantec Endpoint Security Complete | EPPとEDRを統合し、多層的なセキュリティを提供。高度なふるまい分析と自動化されたレスポンス機能を備える。 | マルウェア防御、リアルタイム脅威モニタリング、クラウドベース管理。 |
Trend Micro Apex One | EPPとEDR機能を組み合わせた統合セキュリティプラットフォーム。マルウェア防御、脅威検出、ふるまい監視、インシデントレスポンスを提供。 | AI駆動の脅威検出、仮想パッチ、脅威インテリジェンス。 |
SentinelOne Singularity | AIベースのエンドポイントセキュリティプラットフォーム。ふるまい検知と自動化されたレスポンス機能を提供。 | 自動化された脅威レスポンス、リアルタイムふるまい監視、統合脅威インテリジェンス。 |
技術的な詳細
1. CrowdStrike Falcon
- 脅威インテリジェンス: リアルタイムでグローバルな脅威インテリジェンスを収集し、迅速に対応。
- クラウドネイティブアーキテクチャ: エージェントは軽量で、クラウドからの強力な分析とスケーラビリティを提供。
- 脅威ハンティング: 専門チームによる24/7の脅威ハンティングとインシデントレスポンス。
2. Microsoft Defender for Endpoint
- AIと機械学習: エンドポイントのデータをAIで解析し、脅威を自動的に検出。
- 自動化されたレスポンス: 脅威が検出されると、修復アクションが自動的に実行される。
- 統合管理ダッシュボード: Microsoft 365との統合により、一元管理が可能。
3. Symantec Endpoint Security Complete
- 多層防御: アンチウイルス、ファイアウォール、IDS/IPS、データ保護を含む多層的な防御を提供。
- ふるまい分析: リアルタイムでのふるまい分析により、未知の脅威を検出。
- クラウド管理: クラウドベースの管理コンソールにより、リモートからの管理が可能。
4. Trend Micro Apex One
- AI駆動の脅威検出: AIと機械学習を利用して、複雑な脅威を検出。
- 仮想パッチ: ソフトウェアの脆弱性を悪用する攻撃から保護。
- 包括的な脅威インテリジェンス: グローバルな脅威情報を活用して防御を強化。
5. SentinelOne Singularity
- 自動化されたレスポンス: エンドポイントの脅威を自動で修復。
- リアルタイムふるまい監視: エンドポイントの活動をリアルタイムで監視し、異常を検出。
- 統合脅威インテリジェンス: 多様な情報源からの脅威インテリジェンスを統合し、包括的な防御を提供。
EPPとEDR以外の技術
1. SIEM (Security Information and Event Management)
- 概要: SIEMは、ログ管理とリアルタイムのセキュリティインシデント管理を行うプラットフォームです。ログデータを収集・分析し、異常検知やインシデントレスポンスを支援します。
- 代表的な製品:
- Splunk Enterprise Security: データ分析とSIEM機能を統合し、セキュリティ運用を強化。
- IBM QRadar: リアルタイムの脅威検出とインシデントレスポンスを提供。
2. DLP (Data Loss Prevention)
- 概要: DLPは、機密データの不正なアクセス、使用、送信を防止する技術とポリシーのセットです。
- 代表的な製品:
- Symantec Data Loss Prevention: 機密データの流出を防止し、データセキュリティを強化。
- McAfee Total Protection for DLP: データの流出をリアルタイムで検出し、防止。
3. ZTNA (Zero Trust Network Access)
- 概要: ZTNAは、「信頼しない、常に検証する」というセキュリティモデルに基づき、エンドポイントがどこからアクセスしても常に認証と認可を行う仕組みです。
- 代表的な製品:
- Okta: ID管理とZTNAを統合し、セキュアなアクセスを提供。
- Cisco Duo: 多要素認証とZTNAを提供し、安全なアクセス制御を実現。